世界屈指の好魚場、日本海を望む京都府・舞鶴市。
ここには季節を問わず、活きのよい魚介類が水揚げされています。
この恵まれた地で日本一のかまぼこづくりに日夜励んでいます。
かまぼこの味は当然ながら、原料(シログチ、スケソウダラなどのすり身)に大きく影響されます。
舞鶴かまぼこで使用されるすり身は、例外なく、舞鶴かまぼこ協同組合内の検査施設での厳重な検査をクリアした、最高品質のもののみを使用しています。
また、保存料は一切使用しておりませんので、安心して召し上がってただけます。
かまぼこ職人は早朝から厳格な温度管理をしつつ、すり身の調整・練りをしています。
同じ原料でも職人の技術と勘とめざす品質の違いで、全く違うものが出来上がります。
舞鶴かまぼこはプリプリ、シコシコとした特有のコシを出すために、@すわり(45℃くらいで30~40分)A本蒸し(85℃で30~45分)という舞鶴独自の2段階蒸し上げ方式を採用しています。
舞鶴には、文政年間創業のかまぼこ屋も現存しており、伝統の製法で舞鶴かまぼこを作り続けています。
「舞鶴かまぼこ®」は平成18年に舞鶴市で初めて地域団体商標(ブランド商標)取得を特許庁より認可されました。
消費者の皆様からの信頼をさらに揺るぎないものにしていく為に独自のトレードマークをつくりました。
「舞鶴かまぼこ®」にはすべてこのマークがついています。
かまぼこの歴史は古く、その昔、神功皇后が三韓渡来の道すがら、兵庫県生田の社で魚肉をすりつぶしたのものを鉾の先につけて焼いたのが最初であるという言い伝えがあります。
永久3年(1115年)の古文書に亀足(きぞく、和紙のこと)つきのかまぼこの図が載っていますが、現在のところ記録として残っている文書ではこれが最古と言われています。したがって、かまぼこが登場したのはそれ以前ということになります。
実際に東南アジアの一部の地域に、日本の薩摩揚げに似たかまぼこがあることを考えると、その起源は東南アジアにあった可能性もあります。
竹の筒に塗り付けて焼いた当時のかまぼこの形状が植物の「ガマの穂」に似ていたことから、当初は「ガマの穂」と言われていました。
時代が進み、大衆化するにつれ「蒲穂子」と呼ばれ、形状が槍(鉾)に似ていたことかもあり、いつしか「蒲鉾」になったという説が有力です。
江戸時代の書物に「後に板に付けたるが出来てより、まぎらはしきものと蒲鉾は竹輪と名づけたり」と記されているので、蒲鉾と呼ばれていたのは現在のちくわであったということになります。
板についた現在のかまぼこは安土桃山時代の後半くらいに登場し、それまでの蒲鉾は竹輪と呼ばれるようになったのです。
舞鶴かまぼこの発祥の歴史は関ヶ原の合戦あたりに遡ります。
関ヶ原の合戦前、細川幽斉の子忠興は家康側につき、全軍を率いて会津征伐に向かいました。石田三成は、福知山城主小野木縫殿助ら三成方の軍勢1万5千人をもって丹後に侵攻。
宮津城で留守をあずかっていた幽斉は、決死の覚悟で宮津、久美、嶺山の諸城を焼き払い、船で舞鶴城にわたり籠城戦を決行しました。当時の舞鶴城は北が海、東西は川、南は馬が渡れないほど深い湿地で、難攻不落の城でした。
かねてより、幽斉から歌道を教わっていた八条宮智仁が籠城のことを知り、後陽成天皇に幽斉を救ってほしいと願い出ます。度重なる和議救済の使者の意を解し、幽斉が城を明け渡すことを決めたのは、関ヶ原の合戦3日前のことでした。
この籠城戦は実に50日余りに及びました。三成方軍勢1万5千人がわずか5百名で守る舞鶴城に釘付けになり、天下分け目の合戦に参加できなかったことが、結果的に家康方に勝利をもたらしたと言えるかもしれません。
関ケ原の合戦後、家康は合戦の恩賞として、忠興には九州の豊前国と豊後国の一部を与え、幽斉にも依然と同様の領地六千石を認めたのでした。
この合戦の前後に地元漁師が食料搬入などで水軍にも劣らない活躍をしたとして、漁師は「領土波打際三間漁師勝手次第」(波打ち際の数メートルの土地は、仕事で好きなように使ってよい)の待遇を受けることとなりました。
土目録から推測すると、漁師は竹屋町尻の海辺一体に居住して、田辺藩の「舸子(かこ)」の扱いを受けていました。これらの漁師が、やがてかまぼこ製造に取組んだことは想像に難くありません。舞鶴には、高作商店のように文政年間(1818〜1830年)にしたかまぼこ屋も現存しています。
明治34年の鎮守府開設後は、軍人や軍港施設の工事作業員などが集まり、人口が爆発的に増えていったことや、鶴阪鉄道の開通にともない沿線地区への販路拡大が可能になり、舞鶴のかまぼこ生産は順調に業績を伸ばしていきました。
そして終戦、魚類経済統制解禁後の昭和25〜26年にかけて組合設立が相次ぎ、徐々にかまぼこの街としての基盤を築いていったのでした。 しかし、順調なことばかりでなく、保管資料によれば明治42年の大火、昭和28年の13号台風直撃で生産地吉原地区が壊滅的な打撃を蒙ったことが記されています。
歴史的大きな災害に2度も遭いながら、そこから立ち上がった粘り強さが、伝統の製法を守り続ける辛抱強さの根源になっているではないかと考えています。
栄養バランスのとれたヘルシーメニューの基本は、主食、副菜を揃える事です。
かまぼこ製品は、主菜にも、副菜にも汁にも手間いらずで利用でき、バランスメニューつくりに大変便利です。
(1)育ち盛りの子供にはたんぱく質、カルシウムの補給
骨や筋肉などの発達が盛んで活動量も多い成長期の子供にとって特に重要な栄養素がたんぱく質やカルシウム。
これらを手軽にファストフード感覚でとれるのがかまぼこ製品。野菜入りなど種類もたくさんあるので、子供のおやつにぴったりです。甘いおやつよりはるかにヘルシーです。
ちなみに、たんぱく質(プロテイン)はギリシャ語の「第一に重要なもの」が語源とされています。その名のとおり、細胞の構成成分や免疫などにかかわる大切な栄養素です。
たんぱく質はアミノ酸が鎖状につながってできており、そのつながり方は食品によって違います。アミノ酸は約20種類あり、このうち体内で合成できない9種類を必須アミノ酸といい、このアミノ酸をバランスよく含んでいるものが良質たんぱくといわれます。
必須アミノ酸をどのくらい含むかを示したものがアミノ酸スコアで、これは理想的なたんぱく質を100とした場合、食品がどれだけ理想値に近いかを示す数値です。かまぼこ製品のたんぱく質の評価は必須アミノ酸をバランス良く含んでいるため、いわば、100点満点。
必須アミノ酸の一部が不足しているご飯や麺類、大豆などもかまぼこ製品と組み合わせることで各々の不足が供給できます。
(2)DHA、EPAで若さハツラツ
年を取るにつれ忍び寄る老化や生活習慣病。これらを防ぐには、原因を断つとともに、抑制する働きのある食品因子を積極的にとることです。
そのひとつが、イワシなどの青背魚に多いDHAやEPA。
DHAには学習能力や集中力を高めたりボケをふせぐ働きがあり、EPAには血液をサラサラにして動脈硬化を防ぐ働きがあります。
これらを多く含む魚で作ったつみれなどのかまぼこ製品を大いに活用しましょう。
(3)おなかにやさしく栄養補給
高齢になっても体は新陳代謝を繰り返しています。体中の細胞の構成成分となるたんぱく質は壮年期と同じくらいしっかり補給します。ただし、1回に食べられる量が減り、かむ力や消化能力も弱まってきています。
かまぼこは歯ごたえがあり、プリプリとしています。一度かんだくらいではかみきれない強い弾力があるため、消化が良くないと考える人がいますが、事実は逆です。
かまぼこ製品の弾力は、魚のたんぱく質だけで、その性質をうまく利用してつくられたもの。しかも、魚肉をペースト状にするので、筋肉繊維がすりつぶされて消化されやすくなっています。
そのままでも、安心して食べられ、お子様やお年寄りのおやつにも最適でスナック感覚で食べられます。 プリプリした独特のテクスチャー(食感)は、かまぼこ製品の優れた品質を物語っています。
魚肉を少量の食塩とともにすりつぶして、たんぱく質を溶かしだし、これが絡みあって網目のようにしっかりと結びつきます。網目の中には水分が閉じ込められ、さらに加熱することによって網目構造はいっそう強くなり、あのプリプリした弾力が生まれます。すりつぶして練る前の「水晒し」の段階で、たんぱく質の絡み合いを阻害する酵素を洗い流すため、たんぱく質がより強く絡み合うのです。
余談ですが、中国では、この種の食感のことを「脆(ツオエイ)」といって表現し、中国人がもっとも好むところのものです。のどごしも消化もよく、低脂肪で良質のたんぱく質の多いかまぼこ製品はおすすめです。
(4)健康的なダイエットには低脂肪、良質なたんぱく質を
古今東西多くの人がダイエットに挑戦しています。
体重オーバーの人が減量することは成人病を防ぐ上でも必要で、ダイエットそのものは悪いことではありません。問題なのは無茶な痩せ方です。
例えば、体重60キロの人が過剰なダイエットによってあっという間に50キロに減量したとします。この場合、減った10キロをすべて脂肪と勘違いする人がいますが、実は減った重さの半分は脂肪であっても、あとの半分は骨や筋肉を減らしてしまっていることに多くの人が気づいていません。
また問題はこれだけにとどまらず、そのあとリバウンドがきて、元の体重に逆戻りしたとき、 増えた分の殆どは脂肪で、 骨や筋肉は戻らないことです。
このようなダイエットを繰り返していれば、脂肪は減るどころか増え、また筋肉は衰え、骨も弱くなっていきます。その結果、若くても骨粗しょう症になったりするのです。
ダイエットの基本は栄養価が高く、それでいて低エネルギーのものを食べることです。そこで、おすすめしたいのがかまぼこです。
油で揚げた分エネルギーが高くなる揚げかまぼこにしても、カロリーは卵よりも低く、普通サイズの蒸しかまぼこだと、1本で約100キロカロリーしかありません豚肉の半分以下の低さです。
さらに特筆すべきは、ダイエット中はタンパク質が不足しがちですが、かまぼこは高タンパク質なので、ここからそれを補えることです。ダイエットの強い味方、それがかまぼこです。
(5)コレステロールを低下させる
脂っこいものは好きだがコレステロールが心配という声をよく聞きます。 体に害のあるコレステロールが増えすぎると高脂血症という症状になって現われ、動脈硬化の原因となります。
ただし、コレステロールはすべて悪者とは限りません。むしろ、体にとっていい働きをするコレステロールもあるのです。前者を悪玉コレステロール後者を善玉コレステロールといって区別します。悪玉コレステロールはLDL(低比重リポタンパク質)と呼ばれ、高脂血症は血管壁についたこのコレステロールが引き起こすものです。だから悪玉と称されます。善玉コレステロールはその反対で、HDL(高比重リポタンパク質)と呼ばれ血管についたコレステロールを肝臓に運び、胆汁酸として対外に排泄させます。つまり、体にとっていい働きをするので善玉と呼ばれるのです。
健康な人では善玉と悪玉とのバランスがうまくとれているのですが、悪玉コレステロールが増えるとその状態がくずれ、その結果、健康が阻害されます。ですから悪玉コレステロールは減らさなければなりません。その点、不思議なことに魚肉に含まれるタンパク質には悪玉コレステロールを減少させる働きがあるのです。かまぼこは魚肉からつくられています。ですから、かまぼこにも同様の働きが期待されます。
また、魚肉に含まれるEPA(エイコサペンタエン酸)は悪玉コレステロールだけを減らし、善玉コレステロールはそのままにしておくというすぐれた働きをします。コレステロールが心配という方は普段からかまぼこを積極的にとるようにしましょう。
(6)夜食や酒の肴にもおすすめ
夜遅くまで受験勉強や残業などをするとおなかがすいてしまいます。かまぼこ製品は良質たんぱく質を多く含み、低脂肪で消化もよいのが特徴ですから夜食にも安心しておすすめできます。
また、お酒のつまみに「板わさ」という方も多いのではないでしょうか。あるいはさつま揚げを焼いたものや、竹輪なども大変好まれます。 かまぼことお酒とは相性がよく、かまぼこさえあればあとのつまみは
いらないという人さえいます。 かまぼこをお酒のつまみにするのは大変理にかなったことです。というのも、かまぼこが肝臓の働きを活発にするからです。
それを可能にするのが、かまぼこに含まれるタンパク質です。肝臓は解毒作用の他にいろいろな代謝作用を行っていて、常に大量の タンパク質が酵素やホルモンによって分解、合成されています。
ですから、肝臓の働きを高めるには普段から充分なタンパク質の摂取が必要で、お酒を飲むときはなおさらです。アルコールを分解するために肝臓はフル稼動しなければなりませんから、タンパク質もおおいに必要となるのです。
そのタンパク質を豊富に含むのがかまぼこです。かまぼこをつまみにすることでお酒から肝臓を守りましょう。
(7)良質たんぱく質で筋力アップ
最近、マラソン、プロ野球、サッカーなどで、栄養学に基づいた体質改善、体力強化法を導入する選手が増えています。低脂肪、良質たんぱく質が豊富なかまぼこ製品はスポーツ界でも見直されています。消化が良く、胃腸への負担も少ないので、スポーツをする人にはぴったりのたんぱく質源です。
神奈川県小田原市もかまぼこが有名ですが、その代表格である鈴廣かまぼこ株式会社がユニークな取り組みを行うと発表したのはご存じでしょうか。サッカー日本代表・長友佑都選手とともに、かまぼこの魅力を広く伝えるプロジェクト「魚肉たんぱく同盟」を発足し、魚肉たんぱくの魅力や可能性を伝える活動をしています。当組合も企業、研究者、学生、一般市民からなる「お魚たんぱく健康研究会」(令和5年4月発足)に所属しています。
プロのみならずアマチュアのスポーツマンも筋肉、血管、骨を強化し、余分な体脂肪をつけないために、かまぼこ製品を活用し、バランスのとれた食生活を心がけましょう。
(8)かまぼこでストレスに勝つ
現代はストレス社会といわれるくらい、多くの人がストレスをかかえ、悩まされています。ストレスは決して軽視できないものです。というのも、免疫力の低下
を引き起こすからです。
たとえば、過労やいらいらすることのおおい生活が続くと、風邪をひいたり、慢性の歯周病が悪化することがありますが、これは、ストレスによって免疫力が低下することが原因とされます。免疫とは、外から進入しようとする異物(抗原)に対して、これを迎えうつもの
(抗体)を体内でつくりだし、敵の攻撃を抑え、排除しようとするいわば、生体防御機構のことです。もっとわかりやすくいえば、外的に対して自警団を組織して立ち向かい、敵をやっつけ追い出してしまおうとする体の働きのことです。
ですから、免疫力が強ければどんなに強固な敵であろうと打ち負かすことが できますが、反対に弱ければ、やっつけられ、容易に敵の侵入を許してしまいます。その結果、病気が起こりやすくなります。病気を招かないため
には普段から免疫力を高めておくことが重要で、そうすればストレスにも対抗 できます。
ところで、血液中の抗体や殺菌酵素など免疫力となる源はすべてタンパク質 でできています。そこで、免疫力を高めるためにはタンパク質を充分にとること
が必要不可欠で、それには高タンパク食品を食べることが一番です。
それに適したのが肉類ですが、牛肉や豚肉などは高たんぱくであっても食べ過ぎると飽和脂肪酸も多くとることになり、 体にはよくありません。その点、魚肉は優秀で、体によい働きをする不飽和脂肪酸を多く含みます。その魚肉からつくられたかまぼこは毎日手軽に口にできますから、免疫力を
普段から強くしておくには大変適した食品といえます。
ご飯の主食に魚の主菜、野菜の副菜、汁など組み合わせた「一汁一菜」がわが国の伝統的な献立パターン。これに卵や肉など洋風な食材が加わると栄養的にも、充実し、世界各国から日本型食生活として高く評価されています。
ところが、近年この洋風化が進みすぎて、脂肪のとりすぎから肥満や生活習慣病が増えるなどといった問題が生じてきました。そこでヘルシーな食生活の条件にあう良質たんぱく質で低脂肪のかまぼこ製品が、今見直されています。
WHO(世界保健機関)が発表している183か国を対象とした2019年の世界の健康寿命を見てみると、日本は健康寿命が長い国の1位にランキングしています。(健康寿命とは、WHO(世界保健機関)によって提唱された新しい健康指標で、「日常生活に制限ない期間の平均」です。)
2位はシンガポール、3位は大韓民国、4位はスイス、5位はイスラエル、キプロス共和国です。上位国の多くが地中海型食生活をしていたり、その影響を受けている国々です。
健康によい食生活として国際的に評価されている日本型食生活と地中海型食生活には…
@良質たんぱく質源で低脂肪のシーフード(魚介やかまぼこ製品など)をよく食べる、
A体内で酸化されにくいオイレン酸が多いオリーブ油や血液をサラサラにして動脈硬化を防ぐDHA、EPAなどの高度不飽和脂肪酸が多い魚油をとっている。
Bご飯やパスタをよく食べ、総摂取エネルギーのうち、糖質性エネルギー比率がよい
C抗酸化作用のある野菜や果物をよく食べる、などといった共通点があったのです。
栄養豊富なかまぼこ製品で食生活を充実させましょう。
日本人にとりわけ好まれる料理の一つが「おでん」ではないでしょうか。これにはかまぼこがたくさん使われています。
つみれ、はんぺん、竹輪、三色ボール、イカ巻き、ごぼう巻き、さつま揚げ、野菜天、ほかにもうずらの卵や、えび、たこなどを中にいれた揚げ物などたくさんの種類のかまぼこが使用されます。
これだけの材料を一度に煮ると、当然いい味になりますし、食欲をそそられます。しかし、おでんの場合はそれだけにとどまりません。栄養の面からも大変すぐれています。栄養素がぎっしり詰まっているといっても過言ではありません。
ところで、かまぼこは高タンパク食品であっても、それ以外の栄養素は製造段階で減量します。そこで、かまぼこを食べる時は他の食品から必要な栄養素を補うことをお奨めしたいわけですが、おでんの場合は意識してそうする必要はありません。鍋の中はすでにその状態にあるからです。
たとえば、イカ巻きやエビ巻き。イカやエビには血中のコレステロールを減少させる作用のあるタウリンが入っています。ごぼう巻きだと食物繊維が、野菜天のにんじんにはビタミンAがいっぱいです。ビタミンAは油といっしょにとらないと体内に吸収されないのですが、野菜天は油で揚げたものですから、非常によく吸収されます。また、つみれにはEPAやDHAが豊富です。そのうえ、おでんにはかまぼこ以外にも大根、こんにゃく、卵、厚揚げ、昆布巻きなどが使われます。それらの栄養素も加味されますから、まさにおでんは栄養の宝庫といっていいでしょう。
かまぼこが魚の身から出来ていることは多くの方がご存知だと思います。
では、何の魚から作られているのかおわかりですか?
現在、かまぼこ造りに使用されている魚は主にスケトウダラです。北洋でとれるこの魚の冷凍すりみが使われます。ただし、昔からそうだったわけではありません。むしろ、古来よりいろいろな魚が使われ今はスケトウダラがその中心になっているといったほうがあたっています。
では、最初に使用された魚は何だったんでしょうか。それはナマズでした。先の「宗吾大双紙」にナマズが使われたことが明記されています。ただし、味の点では必ずしもおいしくはなかったようで、江戸時代に書かれた「本朝食艦」にはナマズはかまぼこの材料魚としては下品であると酷評されています。
江戸時代に入ると、原材料としてハモが登場します。ハモは関東ではなじみの薄い魚ですが、関西、特に京都では現在も珍重されています。アナゴやウナギに良く似た形をした海水魚で、かまぼこ作りの最高の原料とされました。
明治以降になると、トロール漁がさかんになり、それにつれてかまぼこの主材料もこの漁でとれるキダイ、グチ、ムツ、エソなどに移ります。ところが、昭和の中期頃からこれらの漁獲高が急減し、トロール漁そのものもすたれたため、かまぼこ業界では原材料の転換を余儀なくされ、その結果注目されたのが、北洋漁業です。ここでとれるスケソウタラに関心が集まり、その冷凍すりみがかまぼこの主材料として充分可能と判断され、使用されるようになりました。そうして今日にいたるのです。
このように、今でもかまぼこの材料はスケトウタラが主体ですが、最近はそれに、タイ、ハモ、イトヨリなどのいわゆる美味な魚のすりみが加えられたものも市販され、その名前がパッケージにも表示されて購買意欲を高めています。
板はかまぼこの原料である糊のような粘着性の高い扱いのやっかいな魚の肉糊を運び、包み込む運搬(包装)容器のような働きをしているものです。かまぼこは板があったから、現在のように量産が可能になったし、日持ちをはじめとする品質の向上が可能になりました。
また、日本人は、古くから、木の香りを楽しんだり、草木から天然由来の保存効果などを発見して活用してきました。最近の化学の発展により、場合によっては木材がプラスチックなど別の素材に置き換わったものなども多数ありますが、かまぼこ板は現在でも木を原料としているのはご存知のとおりです。
かまぼこ板の原料は風で倒れたり、落雷で折れたり、木を管理する工程で発生する間伐材なども利用しているので、資源の循環の一つとして自然環境に貢献していると言えます。しかし、どんな種類の木でもよいというわけではなく、消費者の好みに応じて、杉材やモミ材が一般的に使われています。(杉材は特有のニオイがやや強いため、舞鶴かまぼこは全てモミ材を使用しています。)
板には上述したようにその板臭があまりに激しいようなものは使えないし、更に板そのものを違う素材で置き換えようとしても、現在のところ、コスト面、機能面で木材に替わるものは見つかっていません。天然の木には、もともと微細な穴がたくさん開いています。当然ながら、木が生きているときに水や養分を吸い上げた穴が残っているからであり、その空洞が微妙にかまぼこの保存性を支えているのです。
かまぼこの水分は、製造してから一部離水した水は、板の微細な空洞に吸い込まれます。かまぼこの身が乾燥をはじめると、板の空洞にたまった水分がかまぼこの身に補給されます。つまり、かまぼこの身とかまぼこ板の間には適当な水分のやりとりがあるのです。それが証拠にかまぼこを板からはずして置いておくと、すぐに表面から水分が蒸発して乾燥して変色したり、組織の劣化が起こったりします。
また、かまぼこ板に木材以外のものを探しても、そういう自然の微細構造を人工的に、廉価で作ることが極めて難しく、現在においても木にかわるものはありません。元々、魚肉を練り上げて形をつくる工程では、魚肉は肉糊といわれるほど、粘りと接着性が強くて、何かに身を巻きつけるか、乗せるか、包むか、一気に加熱してしまうしか加工する方法が考えられません。
特に舞鶴かまぼこはソフトであるがコシが強いという特徴を持っているため、板の持つ保湿効果は、舞鶴かまぼこの品質(みずみずしさ)を保つ上では必要不可欠のものなのです。かまぼこ板はそのほかにも、かまぼこをスライスする際にまな板が不要で、切るものさえあれば、どこでもカットでき、しかも包丁の刃をいためないという物理的な利点もあります。最近では、全国初となる本物のかまぼこ板を使った「舞鶴かまぼこ手形(特典付きバス乗車チケット)」を発行して、観光にも一役買っています。
かまぼこ板の起源も触れさせていただくと、かまぼこ、と呼ばれるものは最初は今の竹輪に似た形をしていました。その後、板つきかまぼこが登場し、それにとって代わります。
ではいつ頃から板付きかまぼこはつくられるようになったのでしょうか?「摂戦実録大全、第1巻」(1752年)という書物の中に、その手がかりを見つけることができます。豊臣秀頼が伏見から大阪に戻る際、調理人に命じて板かまぼこをつくらせたという記述があるからです。
また、その時のつくりかたは、その約1世紀後に書かれた「及瓜漫筆」という書物の中で説明されています。「魚どもを取り寄せ、大勢よりて、ひたとおろし、骨をさりて、大きな臼を二つ三つ立ちならべて、おろしたる肉を入れ、杵をもってければ、即時にかまぼこになりけるを板につけ、庭の中に長く掘り、炭の火を卓散におこし、畳を左右に立ちならべ、かまぼこを段々に指て炙り(あぶり).......」まぎれもなく、これは板付きかまぼこのつくり方です。
ただし、当時は表面から焼いた焼き抜きかまぼこであって、現在主流の蒸しかまぼこではなかったことがこの一文からもわかります。この点については江戸時代後期につくられた「嬉遊笑覧」の中にも明記されていて「昔は蒲鉾はゆでることなく焼きたるものなり」とあります。今と違って昔は焼き抜きかまぼこが中心だったのです。いずれにしても、板付かまぼこは安土桃山時代に末期には登場していたことになります。
では、かまぼこの起こりとなった竹輪のほうはその後どうなったのでしょうか。「近世事物考」という書物には、「後に板に付けたるが出来てより、まぎらはしきもとの蒲鉾は竹輪と名づけたり」とあります。板付きかまぼこが登場してからはこちらを「かまぼこ」と呼び、かつての「かまぼこ」は竹輪と読んで区別されるようになったのです。
おせち料理の中に紅白のかまぼこが互い違いに並んでいる様子はあでやかで、伝統美すら感じさせますが、その美しさをつくりだしているかまぼこの白さにうがった見方をする人もいるようです。「あんなに白いのはおかしい。添加物に使っているのではないだろうか」と。しかし、かまぼこの持つ白さは添加物によってわざとつくりだされたものではありません。ごく自然にうまれたものなのです。その秘密は白身の魚を使用することにあります。
白身の魚を使えば、当然、白いかまぼこができあがります。ただし、それだけではありません。かまぼこ造りで「水さらし」という工程を踏む際、ここですりみを水によく晒すことにも秘密があります。さらすことで白くなった身はさらに、練成工程で空気を抱くことでさらに白さを増してゆくのです。
では、スケソウダラのような白身の魚を使用しないかまぼこの場合はどうでしょうか。近年、人気が高まっているイワシ、アジ、サバなどのいわゆる赤身の魚をつかったものであれば、黒っぽい色のかまぼこができあがります。このように、使用する魚の身によって白くなったり、そうでなかったりするのです。
食品添加物に対して敏感であるのはいいことですが、しかし過剰に反応するのは考え物です。もしかまぼこの白さに疑問をもっていたならば、そうではないことがこれでおわかりいただけたと思います。
おせち料理は、御節料理と書いて、昔は節句に作られる料理のことを指していました。 最近は、特に正月にむけて年末までに用意されるお祝いの料理である正月料理のことをおせち料理というようになりました。現在のように正月からスーパーやコンビニが開いている時代には、味を濃くして保存をよくしたりする本来のおせち料理の必要もなくなり、なんとなく正月のお膳の彩りのような存在になりつつあるのではないでしょうか。
おせちは元々、正式には五段の重箱に詰められた料理でした。一の重には祝肴として田づくり(orたたきごぼう)、数の子、黒豆の三種が入っていました。かまぼこは二の重に入っていました。二の重には酢の物や口取りといわれる紅白かまぼこ、伊達巻(orだし巻き)、栗きんとん、昆布巻き、お多福豆などが入っていました。三の重には焼き物が、四の重には煮物が、五の重には何もいれない空の重とすることが決められていましたが、四の重では縁起がわるいのでそのようにしたといわれています。
それぞれに、新年を迎えての縁起のよいものが料理として使われてきましたが、かまぼこは、かならず紅白で入れて、めでたい彩りを演出する役目があるようですが、元々は神饌(神棚に供するお供え物)の赤米、白米を表すものであったといいます。
いずれにしても、日本人のめでたさや神聖な色は、ずっと紅白でした。
おせちの中には、ほかに紅白なますといって、お祝いの水引をかたどった料理もあります。おせちの中に使われている食材は、めでたさを表現するもの、長寿を祈願するもの、子宝を祈願するもの、出世を祈願するもの、来る年の先見性を祈願するもの、幸福を祈願するものなどにわかれています。
その中でも、紅白かまぼこは、めでたさと五穀豊穣を願って加えられたものと考えられます。上流階級の七五三の祝いの膳にも、昔から紅白かまぼこが使われてきたと言い伝えられているので、とにかく、めでたい席には常連の食品であったことは間違いありません。
今では、かまぼこも、大量生産が可能になり、誰もが食することのできる比較的ポピュラーな加工食品になっていますが、昔は比較的裕福で、位の高い人しか味わえないものでした。
着色も、当方では一番多く使っているのがピンク系です。そのほかには、法事用の商品によく使うのが若草色です。その他にも黄色や青色などの食用色素が使われますが、舞鶴地区では、あまり使われていません。
ピンク系の色は、着色料として赤色106号(別名:アシッドレッド)がよく使われます。その他に、最近では、赤系統は天然物として、モナスカラー(紅麹色素)、コチニール(エンジ虫抽出)も使われていますが、概して前者と比べると色合いもさえなかったり、光に弱い(色落ちが早い)などの欠点があるものがあって、限られた商品にだけ使っています。
法事用の若草色は、黄色4号(タートラジン)、青色1号(ブリリアントブルー)の混合物を使用しています。製品によっては、使用法も色々で、板かまぼこの色板では、上塗りのスリミに混ぜますし、カニ蒲鉾などのように、上から塗るものもあります。また、直接可食部分ではなく、「かに物語」のように甲羅に色をつける場合もあります。
尚、近年、極端に着色料を嫌う消費者の方もおられますので、そういう方には色板でなく、白板か焼板をお勧めしております。しかしながら、概して着色料というものは昔から、食を愉しみ、食欲をそそらせるためにも役立ち、時には慶事のめでたさを表現したり、弔意を表現したりする役割があり、安全性が認められているものだけを使用していますので、気にしていただく必要はございません。
基本的に、ご家庭の冷蔵庫についている冷凍保管庫で保管することは避けてほしいと思います。家庭用のものでは凍結速度が遅くて、組織内部で大きな氷結晶ができて、その氷結晶が組織を破壊し、解凍したときに水を組織内に吸収しきれないので、かまぼこがスポンジ化して大量のドリップが生じるからです。
(ごくまれに配送過程で冷却設備と密着していたなどで、凍ってしまい、かまぼこがベタベタに濡れた状態でお客様に届いてしまったことがあります。)
かまぼこの凍結点は水分や、砂糖含量によって違いますが、だいたいマイナス4℃からマイナス7℃くらいです。マイナス10℃になれば、かまぼこの水のほとんどが氷に変わります。従って、マイナス10℃までの冷凍速度が急速であればあるほど、かまぼこ内にできる氷結晶が小さくなります。
小さな氷結晶を作るには、超急速凍結が必要になるのです。かまぼこのように肉厚の製品を超急速凍結すると、かまぼこの表面がひび割れし、場合によってはかまぼこ全体が割れてしまいます。水が氷に変わる際にはその体積が約8.7%膨張するので、かまぼこを凍結するとその体積が増加します。超急速凍結するとかまぼこ表面が瞬間的に凍って、氷の非常に固い殻ができます。この表面の氷の殻が内部が凍って体積膨張するのを抑えるので、かまぼこ内部に大きな圧力が発生します。
表面の氷の殻がその圧力に耐えられないで壊れると、かまぼこ表面にひびが入ります。ひび割れ防止には中心温度がマイナス10℃になったら凍結を止め、マイナス15℃付近の低温に置いて内部温度を平均化します。そうすると、かまぼこ表面の冷気が内部に伝わって表面と内部の温度差が小さくなるので内圧が大きくならず、ひび割れしないのです。
いったん冷凍したかまぼこは、一般の食品と同様に、貯蔵温度が低いほど品質の低下は遅いのです。かまぼこの足の弱いものほど、貯蔵期間のドリップの比率は高く、弾力が低下してスポンジ化が進みます。
また、みりんをたくさん入れたかまぼこは冷凍期間が長いと保存中に、みりんの中のブドウ糖とアミノ酸やタンパク質が低温でも反応してメイラード反応を起こして褐変が進行する場合があります。
※現在では、CAS冷凍やプロント凍結といった新しい冷凍技術が開発されてきています。
かまぼこは日本全国で造られており、使用する魚や製造方法の違いにより、独自の味、色、形をつくりだしています。代表的なものを挙げてみましょう。
日本を東西に分け、まず東のほうでは、東北地方の「ぼたん焼きちくわ」、仙台の「ささかまぼこ」、新潟の「新潟蒲鉾」、富山地方の「こんぶ巻き」、敦賀地方の「みりん焼きかまぼこ」、東京の「はんぺん」「伊達巻」、小田原の「蒸し蒲鉾」、焼津の「なると巻き」、豊橋の「豊橋竹輪」。
西の方では、大阪地方の「焼き板かまぼこ」、京都の「魚ぞーめん」、三重の「はも竹輪」、和歌山の「なんば焼き」、中国地方と瀬戸内海沿岸の「簀巻きかまぼこ」、山口地方の「白焼きかまぼこ」、宇和島の「じゃこ天」、鹿児島地方の「つけ揚げ」などがよく知られています。舞鶴地区では「蒸し焼きかまぼこ」が有名です。
この他にも、全国的につくられているものに、「さつま揚げ」、イワシのすりみでつくる「つみれ」、イカや牛蒡を中にはさんだ「イカ巻き」「牛蒡巻き」野菜の入った「野菜天」、さらに近年、アイデア商品として人気のある「カニ風味かまぼこ」「チーズかまぼこ」などがあり、様々なかまぼこが市場に登場しています。
なお、「さつま揚げ」は関西、特に舞鶴では「天ぷら」と呼ばれ、呼び方も地方によって違いが見られます。