■ 亜硝酸が身体に悪いというのは本当でしょうか?
亜硝酸ナトリウムなどの亜硝酸塩そのものが毒性や発癌性を認められていないことは、前の問いに対する回等にも書いたとおりです。 亜硝酸そのものがニトロソアミン生成因子として限定されたときに問題になることがあります。 アンモニアの水素原子を炭化水素基で一つ以上置換した化合物を総称してアミン(メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミンなどが代表的なもの)と呼んでいますが、このアミンと亜硝酸が存在すると酸性側でニトロソアミンを生成します。このニトロソアミンこそが発癌性物質といわれ、毛嫌いされているものです。 亜硝酸は野菜に含まれており、漬物や浅漬などにも特に多く含まれています。 ですから、こういった野菜の中の硝酸が口の中にも住む細菌によって亜硝酸となり、それが魚の肉や卵に多く含まれている二級アミンと胃液の強酸性下で反応すると、ニトロソアミンが作られてしまうのです。 ただ、これだと野菜と肉,魚を食べると癌になりやすいということになってしまうのですが、ビタミンCがあるところではニトロソアミンは作られません。 癌にならないためには、こうしたビタミンCをたっぷりと含んだ食品を摂取するとともに、硝酸性の窒素成分の少ないものを食べる必要があります。 昔の野菜と比べて、季節はずれのハウス栽培などで作る野菜にはたくさんの硝酸性窒素が含まれています。ハウス野菜などは収率をあげるために硝酸性窒素となる肥料を大量に与えられる上に、土中のように雨によって流されたりしないので、多量に残存し吸収されているからです。 また、ハウス栽培の野菜は露地栽培の野菜のようにたっぷりと太陽にあたることがないので、先ほどのようなニトロソアミン形成を阻害するようなビタミン類が蓄積しにくいのです。 つまり、野菜も果物も旬のものを食べるように心がけることが、発癌の予防にもつながるということになります。 また、食肉製品で恐ろしいのが、ボツリヌス菌です。この食中毒菌は加熱後も残留している可能性があり、亜硝酸の使用目的は、このボツリヌス菌を抑制することが第一義的であるといえます。 今日、明日、食中毒で死ぬか、数十年先に癌で苦しむか......そんな選択はしたくないですが、現実には食品というのはそういったリスクがかならずあるものなのです。 |