■ 最近、よくATP検査による衛生指導を受けるようになったのですが、この検査法について教えてください。
「ATPふき取り検査」は、ATP(Adenosine triphoshate:アデノシン三リン酸)を汚染指標として迅速、簡便に食品製造機器類や作業者の手指などの清浄度検査を行う検査法です。ATPは、ルシフェラーゼ及び酸素の存在下でルシフェリンを生物発光(バイオルミネンス)する性質があります。この光の量はATPの量に比例してるので、光の量を計測することにより、ATPの総量を測定し細菌や食材(いずれも生物系)の残渣汚れを検査できます。 もともとは自然界の蛍の発光原理を利用したものです。 特にATPは細菌だけでなく、いろんな汚れ(特に動植物由来のもの)に含まれているものであり、すべての生物のエネルギー代謝の元となっている物質です。 したがって、この試験での汚れの数値はすなわち、細菌そのものと細菌が繁殖するための栄養分の両方を計測したものです。 (測定原理) Luciferase ATP + Luciferin +O2 → Oxyliciferin + AMP + PPi + CO2 + Light (測定に際して注意すること) しかしながら、ふきとりについての面積、ふきとり場所をきめて検査を実施しないと、真の汚れの程度であるとか、手洗い、器具の洗浄後にどのくらい汚れが減ったのかについての検証ができにくいことになってしまう。 ATP検査機器メーカーからは以下のようなふきとり方法が望ましいと提案されている。 【手】 (1)綿棒の先で手のひらを縦向き、横向きにまんべんなく拭き取ります。 (2)次いで指の間の4ヵ所をふき取ります。 (3)爪の先を拭き取ります。 【食器・器具・設備など】 (1)検査したい対象の1番汚れが予想される箇所を決めます(図1)。 (2)その箇所を約10cm×10cmを目安にふき取ります。 1ヶ所15秒くらいかけて、縦横クロスさせて、隙間をあけないように密にふき取ります(図2)。 ※注意:冷蔵庫の取っ手、ドアノブなど平面でない箇所をふき取る場合も面積が100cm2くらいになるようにして下さい。 |