天ぷら(揚げ物)の表面に赤いネト様のものが付着しているが、これはなにか

当検査室のこれまでの調査では、スケソウダラなど白身の魚で製造したものよりも、いわし、あじなど背の青い魚を原料とした天ぷら(揚げもの)に多く見られる。
背の青い魚の持つなんらかの栄養成分がこれらの色を産生する微生物の食べ物となっているのではないかと推察している。 実際にじゃこ天(主原料=ほたるじゃこ)の表面に発生した赤いネト状のものを調査したことがあるが、検査結果はRhodotorula(ロドトルラ)という酵母菌属に属するものであった。 原因菌は空気、土壌、食品に広く分布し、皮膚、糞便のフローラでもあり、血液から分離される以外は病原的意義は少ない。
Rhodotorula spp.の集落はクリーム色から紅色の酵母様で、球形、亜球形、直径2〜14μm大の細胞より形成されている。仮性菌糸は見られない。糖発酵は陰性。カロチノイド色素を産生し、ウレアーゼ陽性である。
概ね好寒菌であり、製造現場では、放冷庫内であるとか、冷蔵庫にて汚染されているものと思われる。特に人体に有害ということはないが、非常に見た目が悪いので、製造者もそういった場所の定期的な殺菌、消毒が必要である。オゾン殺菌などは効果的といわれている。