中国から輸入されている原材料は、SARS汚染の心配はありませんか (2003.5.07)

急性悪性肺炎(重症急性呼吸器症候群・SARS)が発生している、主として中国産の食品について「これを食べても安全であろうか。」という問い合わせが頻繁に出ています。
一般的にSARSの病原体であるウイルスは、動物・植物・細菌等の生物の細胞内にのみ繁殖することが出来て、生物の体外に出た場合は、数時間以内に死滅するのが普通ですが、SARS病原体コロナウイルスは生体外でも特殊な生存能力があり、乾燥したプラスチック板の上で48時間生存する。

当組合が仕入れているディーラーのほうに、食品に付着したウイルスによる人への二次汚染の心配がないかどうかについて情報の収集にあたってもらいました。その回答について下記に報告していただきました。

1. 4月中旬に厚生労働省海外勤務健康管理センターに電話で相談した結果では、「WHOの見解では発症国で生産された加工食品や青果品などから感染、発症した例はなく、現在当該国からの食品の輸入禁止措置はとっていないし、今後もその予定はない」との回答を得て、ひとまず安心はしています。

2. また、4月14日国立感染病研究所、感染症情報センターがWHO情報の訳文の発表によると、「WHOはFAO(国連食料農業機構)」およびOIE(国際獣疫事務所)と密接に連携して、動物にSARS類擬似疾患の発生の有無を検討している、その結果SARSの伝播確認地域から積み出された物品や製品や、動物との接触が、人のSARS感染に繋がったという免疫学的情報はない。
従って、WHOはSARSの伝播確認地域からどのような物品、製品、また動物との接触も、今のところ公衆衛生上の危険はないと考えている」との情報を得ています。

3.国内の各機関の反応
日本生協連安全推進室、新潟市保健所保健予防課、在香港日本領事館、などもそのHPでSARS伝播地域で生産された食品が衛生上安全であるとの声明を出しています。

【生産工場の衛生管理】
中国をはじめ、SARS伝播地域での食品工場では、衛生管理を徹底して実施しています。
@従業員の健康管理を徹底して、工場敷地内の宿舎に居住する従業員だけが就業し、毎日健康管理により感染者の就業禁止、通勤者や来客の出入りを制限または禁止する。
A就業者および設備の消毒を頻繁に行う、手指、長靴、器具、作業台等を1時間毎に洗浄殺菌する。
B工場の建物、食堂、事務所、宿舎等の消毒を毎日実施する。作業衣の洗浄消毒を毎日行う。
以上の衛生管理を徹底することにより、可能な限り安全な製品を目指しております。

○当組合がお世話になっているディーラーM社の見解
厚生労働省およびWHO情報をもとに、SARS発生地区から輸入した各種食品についてはSARSに関連する危害はないものと考えています。
一方、当該ウイルスは生体外での生存時間が長い反面、各種消毒剤による死滅効果は高く、アルコールや次亜鉛素酸ソーダ等殺菌剤の噴霧により瞬時に死滅すること、また60℃以上の加熱で完全に死滅させることができることも食品の安全性の確保に寄与すると考えます。