添加物がすべて無添加の商品はありますか?それはどんなものですか?

食品添加物は、食品に添加することを認められている添加物のことであって、それを入れたから体に害があるとする考えは少し偏っていると思われます。
しかしながら、近年、加工食品の原点に立ち返り、不要な添加物はなるべく排してゆこうという動きはあります。
現実に、舞鶴の練り製品の中でも、保存料(ソルビン酸)の使用は年々減っていき、現在では殆どの蒲鉾(板蒲鉾類)に使用されなくなっています。
これは、流通のコールドチェーン化が進歩したことと、製法上、二次汚染の影響を殆ど受けなくなっているためです。(生のあいだに包装して蒸し上げる製法)
また、塩や砂糖や澱粉などは添加物とはいえ、食品として摂取されてきているので、なんら問題はないはずです。しかも、こうした添加物がなければ、加工品そのものが出来ないわけですから、こうしたものまで除外することは加工品そのものの否定につながると言わざるを得ません。
また、着色料などのように、本来ならば、入れなくてもいい添加物を使用している商品もあります。 私がかって某ハムメーカーに在籍していた頃も、一部の消費者から着色料を使用しないでほしいという要望が強く、かつ、今の消費者が望んでいるとまで言われ、実際に無着色のウインナーソーセージを製造、出荷し、末端の売れ行きを調査したことがありますが、さっぱり売れず、大量の返品(工場側で廃棄処分)をうけたことが記憶にあります。
食品には、味、香りだけでなく、外観のイメージというものがあり、これは長い食文化の歴史の中で人々に受け継がれてきたものです。
ですから、食卓に彩りを添えるという観点からも、現状では、ある程度の食用色素の使用は否定すべきではないと考えております。
食品添加物の毒性調査などの結果を、すべてあてはめて、「これは毒だから入れないでほしい」と短絡的に決めつける方がおられるようですが、基本的には、食べ物は、同じものを大量に偏って摂取すれば殆どのものが毒性を持ち得るということを忘れないようにしてほしいと思います。
無添加で仮に作り上げられたとしても、味も食感も外観も異質な食品をどうして、お金を出してまで消費者の皆様がお買い求めくださるでしょうか?
だからといって、私は添加物を肯定する立場ではありません。むしろ、経済成長期に、利益追求だけを目的に、添加物を多用してきた日本の一部の加工食品メーカーの姿勢には反対の立場をとってきました。
私は、これからは、添加物だけにとらわれるよりも、食生活そのものを考えたほうがいいと思っています。
極論ですが、人間は過去にたくさんの”毒となりうるもの”を摂取してきたけれど、同時にその”毒を無害化するもの”もたくさん摂取してきたのです。
より多くの種類の食品を摂取することで、栄養の偏りを避けることができるように....。
今、スナック菓子を日常、多量に摂取する子供たちの骨は非常に弱くなっていると言われ、そのことが社会問題化しています。これなども、原因をスナックなどに含まれる添加物によるものという偏った見方をするのではなく、食生活そのものに問題があるということを忘れないでいただきたいと思います。
木を見て、山を語らず.......にならないように祈っています。
日本が誇る伝統食品を大いに摂取しましょう。それと、昔から日本人が伝えてきた、日本型の食生活も見直しながら、本当の意味での豊かな食生活をしていただきたいと思います。