■ ごぼう天の断面をみたら、ゴボウまわりが緑色に変色している。

はじめてみると、緑色の着色料がすりみに混入していたのだろうかと思うほどの色ですが、実は、これはゴボウやサツマイモ、ウドなどの植物に含まれている成分によるものです。主たる原因物質はクロロゲン酸という成分です。 正式名称は5−カフェオイルキナ酸という名称であり、この成分がアンモニアアルカリ性の下で緑色を呈することから、Payenによって名づけられた名称であるとのことです。 いわば植物界に広く分布するポリフェノール化合物の一つといえるでしょう。
弱アルカリ性下で、アンモニア、アミノ酸、タンパクなどの含窒素化合物共存のもとに、ポリフェノールオキシダーゼ、またはある種の酸化剤の作用によりおこることが知られていますが、緑色色素の生成機構およびその化学構造はいまだに明らかでありません。
食品が分解されるときに、少しづつ出てくる気体の中には、アンモニアなどのクロロゲン酸を緑色にさせてしまうアルカリ成分が含まれています。それが徐々に反応して、緑色になってしまうのでしょう。
 したがって、クロロゲン酸が緑に変色した色素の毒性については、まだわかっておらず、商品にそのようなものがあれば廃棄する以外にはないでしょう、