■ 芽胞菌とはどんな菌ですか?普通の菌とどこが違うのですか?
ウエルシュ菌、ボツリヌス菌、セレウス菌といった細菌は、自分の回りが増殖に適さない条件になると、菌体内部の成分が菌体の一か所に集中して、芽胞核というものを形成しはじめます。その後、核のまわりにペプチドグリカンというかたい物質やタンパク質が集積し芽胞皮膜、芽胞殻を形成し、芽胞のもととなっていた菌体は壊れて、最終的には円形や楕円形の芽胞のみになります。 いったん芽胞をつくると、熱や薬剤、乾燥などにとても強くなります。 芽胞をつくる細菌は、クロストリディウム属のボツリヌス菌、ウエルシュ菌や、バシルス属のセレウス菌などがあります。 クロストリディウム属は、嫌気性といって酸素が嫌いなので、真空パックなど酸素がない状態になると増殖します。 それに比して、バシルス続のセレウス菌は酸素があるほうが増殖します。 芽胞菌が通常の最近と比べて注意しなくてはならないのは、以下の理由によるものです。 ●ある芽胞菌による食中毒は1件あたりの患者数が多い。 ●死者を発生させる食中毒の原因に芽胞産生菌がある。 ●芽胞は環境に広く分布し、食品原材料や食品工場を汚染する機会を断ち切ることができない ●芽胞は一度混入すると、厳しい条件でないとその食品からその危機を取り除くことができない。 ●食品の加熱処理に過信していると、芽胞の危害を受けてしまう可能性がある。 ちなみに、セレウス菌の芽胞は20時間も沸騰しないと死滅しません。ボツリヌス菌芽胞でも、煮沸滅菌するのに6時間もかかります。 しかも芽胞にはアルコールは全く効きません。 逆性石鹸の消毒剤である塩化ベンザルコニウムも芽胞には効きません。 また、通常の栄養型の最近が死滅するような、たとえば70度で15分というような加熱処理をしたとすると、芽胞にとっては平気で耐えられる上上に、ヒートショックで発芽を開始してしまい、増殖を開始してしまうというやっかいな面もあります。 芽胞菌を死滅させるには、高温高圧殺菌(レトルト)しかないのですが、一般に食品を汚染している芽胞の数は多くありません。 |