■ 赤色●●●号という着色料は何からできているんですか?その安全性は?
標記の件ですが、日本において「赤色○○号」と呼ばれる食品添加物に利用されている法定色素は「食用タール色素」とよばれている合成染料のうち、厚生省が安全を確認して使用を認めたものです。 化学的には、何十万種と染料の化学合成をすることは可能ですが、ほとんどのものは、工業用につかわれるだけで、食用には使われることがなく、数種類の安全性を確立したもののみを混ぜ合わせで微妙な色加減を調整しているのが現状です。 もともと、コールタールから得られるベンゼンやナフタレン、フェノール、アニリンといった芳香族化合物を原料として酸性染料(アゾ染料)が合成されたために、タール色素とよばれています。 しかしながら、現在では、これらの芳香族化合物は主に石油精製の際に得られるナフサを原料とした化成品から生産されているので、アゾ染料もコールタールを原料にすることはほとんどなくなっています。 昔から、合成着色料という名前で、しかも、コールタールをイメージするタール色素という名前で、印象があまりよくなかったことが、たえず消費者に敵対視されてきた原因の一つと考えられます。 話をタール系色素に戻すと、着色料としての使用量は単品の食品では、ごくごく微量で着色できるので、食品に関して心配する必要はないと思います。 食用の色素は過度に嫌われる傾向がありますが、ご婦人方の多くが口紅の染料については、あまり何も仰ることがないというのも不思議なことです。 おそらく、口紅の色素は食事の際には、かならずある程度の量はいっしょに口から食道をとおっているはずです。(食用色素では禁止されている着色料が使われている場合もあるようです。) また、タール色素の安全性はともかくとして、そのイメージの悪さから、化学合成されたものをやめて、天然系の色素で色をつける試みもなされていますが、天然系の色素は物質そのものが不安定で、しかもほどよい色の調整が難しく、タール色素の数十倍も添加しないと色がつかないなど、安定して使用されているものはきわめて種類が少ないようです。 しかも、安全性についても、許可されているタール色素のように安全性を確認されたものでないものも天然物には多く含まれている可能性もあり、天然だから安全ということはありません。 |