海洋深層水は食品としてからだにいいのだろうか?
「地球最後の資源」といわれる新しい海水『海洋深層水』が体と健康によいという評判になっています。
生協、百貨店、通販カタログなど、最近、たくさんの販売ルートにのって注目を浴びるようになっています。
海洋深層水と呼ばれる水は、深層水といっても、実は、『深層』の水ではないのです。海洋学的に、海水は浅いほうから「表層」「中層」「深層」「底層」とわけられ、「深層」は深さ3000メートルから5000メートル程度とっなっていて、海洋深層水は、その深層の水ではなく、深さ200メートルより下の中層に位置する水のことなのです。
この中層の水は温度が低く、年間を通じて、9℃前後。海洋深層水が最初に注目されたのはこの水温で、1920年代にフランスで、海の表面に近い水との温度差を利用した発電が試みられたのがきっかけです。
しかし、最近注目されているのは、海洋深層水の栄養面です。200メートル以深の海は太陽の光がほとんど届かないため、海藻やプランクトンは光合成ができず、海水中の窒素やリンなどの栄養分が消費されずに残ります。また、プランクトンの死骸などが分解され、窒素やリンなどがたまったりもします。
海洋深層水を分析したところ、鉄、銅、亜鉛などの金属イオン濃度が、表層の海水とはかなり違っていて、窒素、リン、ケイ素などは表層水の5〜10倍も含まれていました。
この点に着目して、科学技術庁では、85年、室戸岬沖を研究海域に指定して研究を開始、高知県は89年に海洋深層水研究所という研究所を発足させました。研究は富山、静岡、沖縄などの自治体にも広がっています。研究が進展するにつれ、この分野への民間企業の進出も増え、海洋深層水を利用した商品化が次々に出てきています。
ミネラルウオーターをはじめ、ジュース、アイスキャンディー、日本酒、豆腐、醤油、入浴剤、化粧品など約40品種にものぼっていて、今後は医療用の生理食塩水や抗生物質などへの利用も進んでいくといいます。わたしなどは深層水で魚を飼育してみたいと思っているのですが.........
この海洋深層水、本当に体にいいのでしょうか?
 結論から言いますと、人体への効果については、まだ研究途上、研究、臨床データがあまり出ておらず、よくわからないのが真相です。研究が比較的進んでいるのはアトピー性皮膚炎に対する効果です。
高知医科大学小児科の倉繁隆信教授、室戸中央病院小児科の佐藤哲也医師のグループが92年から治療研究に取り組んでいます。
 アトピー性皮膚炎の患部に海洋深層水を塗布した後、ワセリンなどの軟膏をつけます。これを1日1,2回繰り返すと、早い患者で4週目頃から効果が出はじめると言います。これまでにおこなった500人の患者に対する効果は「著しい効果があった」が14%、「有効」が52%「かわらない」が30%などでした。
 しかし、なぜ、海洋深層水が効くのかについてのメカニズムの解明はまだ十分に進んでいません。
飲んだり食べたりの効果や化粧品の効果にいたってはもっとわからないのが現状です。
深層水に詳しい東海大学海洋学部の深沢理郎教授(海洋物理学)は「基礎研究は進んでいます。海洋深層水を使った養殖など漁業関係では有望ですが、医療効果については臨床例があっても理由がわからないなど未知な部分も多く、今後の研究次第でしょう」と語られています。
しかも、鉄などの金属イオンは海水中の酸素と反応して、活性酸素と呼ばれる反応性の高い物質を作り生体障害を引き起こすこともあります。こうしたデメリットがあることも頭において利用しなければならないのです。
あたらしい情報に左右されるのは悪いことではありませんが、口から体内に入ることについては慎重すぎることはないと思います。(2000.6月酒蟷螂考える)
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