大やけどの
酒蟷螂

もっとも最近の事件であるが、当時のエピソードはリンク先のサムライガールのまゆみさんの短歌のコーナーにもいかれた短歌を投稿、掲載していただいていることでよく知られてしまった。 気のあった友人たちと浜辺でバベキュー大会を開催したときのことである。 
  由良の浜辺に庭付きの豪邸を構えるH氏の家に集結した仲間たちとその妻、子供たちがバーベキューの準備をしてくれて、肉あり海産物ありの豪華なパーティーが開催されたのであった。
私はいつものようにビールと酒をぐいぐい呑んでいたのだが、浜風が心地よく、このような日を作ってくれた友人たちに感謝で一杯の気持ちであった。ひとしきり呑んだ後、みんなで浜辺へ出向いて花火大会をしようということになり千鳥足で砂浜をめざした。海が近ずくにつれ海岸の砂浜にうち寄せる波の音がザザーと耳に響き、本当に快く感じた。

すこし、浜風がふいているせいで、子供たちが花火に火をつけようとするのだが、いっこうに盛り上がらす花火も散発的だったので、子供たちから花火と火をとりあげ、私が花火に火をつけて回ることにした。 私はサービス精神が旺盛なところがあり、(酔うとよけいおせっかいになる性質がある )そのうちに花火があちこちで火を噴き始めた。そのときだった、灯りのない砂浜で火の明かりだけで作業をしていて、しかも酔っぱらっているものだから、最後の花火をあげるとき、誤って発火口のほうを持ってしまったものだから、打ち上げ花火が酒蟷螂の手の中で爆発してしまったのである。おそろしいもので、しばらく手の感覚が無く、手首から手が飛んで無くなったかとおもうほどの衝撃を感じた。(良い子は真似をしないように) 暗がりにのなかで、手のひらがちゃんと存在していることを確認してから、ひりひりと手が痛み出した。 
 とっさに砂浜を走り、波打ち際へ行って手を冷たい海水に何度かつけて応急処置をしたのだが、酔っていてもたまらなほど手のひらが痛くなったのを覚えている。 

 みんな楽しそうにしていたのに、暗転して私を心配する声がしきり.....。私は平静を装っていたが、H氏の庭に戻ってから、看護婦をしている友人の妻に手のひらを見てもらった。 明るいところで見ると、手のひらを小さいモグラが何匹も走り回ったように、水膨れが螺旋状に走っていた。 氷をもらって冷やしていたが、氷が溶けるとたまらないほどの痛みが走ったため、酔いが醒め てきた。  

バーベキューパーティも途中で抜けてM氏と一緒に帰ったわけであるが、家の周辺では地蔵盆で近所の子供たちや奥様たちがうようよしており、私がそこにいる妻にやけどをした旨を伝えたのだが、その事の子細が近所中に知れ渡ってしまった。(近所の奥様方も私の手にやけどの薬を塗ってくれたり....大騒ぎ) それから、家に帰ると自分でミミズの這ったような水膨れを全部切り取り、水を出したあと、そのまま風呂に入り(酔っているとこの程度の痛みは感じないものだ)眠ってしまったようである。翌日、自分で殺菌をしてガーゼを巻いたりしていたが、しばらくすると、手のひらが化膿してガーゼもびしょびしょに濡れてしまい、どうにもこうにもならない状態になったので、近くの病院に行くと、毎日通ってくださいと言われて約2週間の通院を余儀なくされてしまった。 ああいう水膨れは自分で切って水をだしてしまうとよけい治りが遅くなるのだということも初めて知ったのである。 しかし今回の事件についても、家族からは冷たい視線が、......そして近所には私がだらしない大酒のみであることが知れてしまい、私のプライドはもろくも崩れていった。今回の事 件について私は以下の短歌を作ってサムライガールのいかれた詩コーナーに投稿している。


浜千鳥/花火とたわむれ/身を焦がし
あすの休みを/いかにとやせん