人は私のことを酒蟷螂と呼ぶ。これは大学時代、学生コンパが盛んな頃に活躍していた私の姿を見ていた親友池上が命名したものである。酒が入るとやたらとかまきりのような長い腕をふりかざし、周囲の人間を引き寄せ、最後には狂乱状態になるので、そういう名前がついたらしい、以後、あの黄金時代が忘れられず、社会人になっても、さらには四十路に入っても酒を飲んだとき、気分がハイになってしまう習慣を取り去ることができないでいる。それゆえ、家族には苦労をかけていると、いつもすまなく思っている。 わたしは今でも、アルコールを一定量浴びると酒蟷螂に変身し、無敵になる。そして、羞恥心が音をたてて崩れてゆく....