傑作その2 かつお節

その1かつお節は不思議なぜカビをつけるのか

かつおのように大きなものは、先に腐ってしまうので、素干しはできないし、煮干しのように煮ても内部まで完全に乾燥する事はできず、放置すると、腐敗してしまう。 昔、紀州の陣太郎という人が四国に流れ着いて、そのかつおの干し方を教えたといわれている。 それは、今で言う間欠ばい乾と呼ばれる方法であり、かつおのブロックを煮出し(数時間煮る)した後、骨などを取り除いて、火あぶりにしてあぶり干しにする。  あぶり干しを続けると、表面に皮のようなものができて内部の水分が抜けきれずに腐敗してしまうので、あぶり干しをした後、今度はむろに放置し、じわじわと水分を抜く。 その工程を幾度となく繰り返すと出来上がるわけである。  しかし、この間欠ばい乾という方法は3つのメリットを生み出しているのである。 1つは乾燥させて保存するということで保存性をよくしているということであり、2つ目はかつおの生臭さを取り除いているという点である。 3つ目は何回もばい乾を繰り返している内に煙の成分が浸透して、よい香りが付着するということである。 かつおぶしには煮干しのような味があるわけではない(煮出しの条件があまりに激しいので)がそれに加わった何ともいえないよい香りを楽しんでいるのである。 煙の成分は、さらに魚の油脂が酸化するのも防止しているのである。  乾燥の工程でカビ付けをしているが、これについては最も有力な説として、昔は水分を計測する機械がなかったので、乾燥の終了点を知る為にカビ付けをおこなったというものがある。 水分が高い時は青かびが発生し、水分が減少するに従いカビの種類が変化し、やがて、褐色のカビがかつおぶしの表面を覆うようになると乾燥終了というインジケーターの役目をしているのである。  また、カビが魚の脂を分解しているという説もあるが定かでない。