とうとうバスも最後か?(2004.1.22)

会社に勤務している私に、妻から..「バスがもう死ぬよ。さかさまになって水槽の表面もう、虫の息だよ」という携帯メールがはいった。 私としては何とか家に帰って、バスの蘇生作業をしたいと思っていたのだが、あいにく昼も帰れず、夕方からは講演会、新年会と続いており、家に帰ることもできない。
思えば、餌も食べずに、もう数ヶ月厳寒に耐えていたバスのことを思うと、ほったらかしにしていた自分に生き物への愛情のなさを感じて、よけいに情けなく思っていた。
今年一番の寒気が押し寄せ、新年会の最中、外を見ると横殴りの雪景色が見えた。 なんとか二次回も終えタクシーで雪道を飛ばして帰ってみると、すでに水槽の中のバスはあお向けになって、エラがわずかに動く程度の瀕死の状態になっていた。しかも、水槽に手をいれると、水がシャーベット状になっていた。
思えば、昨日からの寒気で水温がとうとう氷点下になったようで、バスとしても、その生態上の限界点を越えたのだろう。
とりあえず、バスの水槽の水温を上げてやる必要があり、帰るなり風呂場に直行し、お湯を容器にいれては雪が舞う庭に出て、水槽に温水を足す作業を数回繰り返した。 しかし、あお向けになったバスはなかなか正常な姿勢を取り戻すことはなかった。
しかしながら、数回容器の冷水と風呂の温水を交換しているうちに、バスに動きが見られるようになった。 虫の息だったバスのエラが活発に動くようになってきたのである。
私はこの時、まだ、バスを助けることが出来ると確信し、さらに風呂場にてお湯を汲んでは水槽に投入という繰り返しを行っているうちに、バスがさかさになった自分の体を元にもどそうとしているように懸命に動き出すの姿をみることができた。その姿を見ているうちに、なんとか生きてほしいという切実な思いに駆られた。
そのうち、水槽の中で、尾びれを上にした倒立姿勢をするようになってきた。 私はうれしくて、思わず、氷点下に近い水に手を入れて、バスの尾びれをつかんで強制的に正常な姿勢にもってゆこうと試みた。
その時である、いきなり尾びれがすごい勢いで動き、水槽の水を頭から浴びることとなり、私の眼鏡も水びたしになってしまった。 しかし、仮死状態にあったバスがそんな動きをしたことで、最後だとおもっていたバスの命が再び復活してきたという喜びで、水をあびたことによる寒さも感じることはなかった。ただ、ひたすらに水槽の中で命を維持しようともがくバスの姿を観察するので必死であった。
やがて、バスは見事に正常な姿勢になり、水槽の底で何事もなかったかのような顔をして泳ぐようになった。 しかしながらこのまま放置しておけば、また、水槽の水温が低下し、また、バスの生命に危機が訪れることが必至であり、バスの水槽の周りをバスタオルで覆って保温することにした。
 明日の朝はどうなってるだろうか?冷え込みが激しいと、また明日の朝おなかを上にして虫の息状態になっているバスを見ることになるのだろうか?
自然状態での観察を試みているので、ヒーターを入れるのも嫌だし.......。とにかく、今夜、雪降りの中、変人の必死の介護の甲斐あり、なんとかバスを復活させることに成功したのである。